深い軒に包まれた外観と、庭の緑に溶け込むような佇まい。時間とともに移ろう光と影が、住まいに穏やかな表情を与えています。夕暮れ時には、室内のあかりがやさしくにじみ、街並みに静かな存在感を添えます。室内に足を踏み入れると、木の香りと柔らかな光に包まれた空間が広がります。障子越しに取り込まれる光が、素材の質感を引き立て、落ち着きのある心地よさを生み出しています。中庭やウッドデッキと連続する居場所は、内と外の境界をやわらかくつなぎ、季節の変化を日常の中に取り込みます。椅子に腰掛けて風を感じたり、家族で語らうひとときを楽しんだりと、暮らしの中に自然な余白が生まれます。ダイニング・キッチンは、木の天井と造作家具が空間に一体感をもたらし、家族が自然と集まる場所に。それぞれの時間を大切にしながらも、互いの気配を感じられる、ほどよい距離感が保たれています。水廻りや収納にも、使いやすさと美しさを兼ね備えた工夫を随所に。無駄を削ぎ落としながら、日々の暮らしにそっと寄り添う住まいです。静けさと温もり、開放感と落ち着き。相反する要素を丁寧に調和させながら、ゆったりとした時間が流れる住まいが完成しました。 写真:西川 公朗